新庄劇場完結 ~ Studium(野球場)をもうひとつのStudium(劇場)にした役者のラスト公演
2006年プロ野球日本シリーズは 日本ハムが4勝1敗で中日に勝利し、日本一になった。
今回の日本シリーズは、けっこう、 手に汗握るような感じだった。
日本ハムが守備の時、 中日のランナーを貯めてしまっても 最後は無得点か少ない失点で留める展開は 固唾を呑んで見ていた。
5回のスクイズの場面は迫力があった。 三塁ランナーが投球とともに走り出し、 金子選手がバットを必死にボールに当てに行き スクイズをする。 ボールはゆるくピッチャーの前に転がり 川上投手がグラブですくい上げるようにして キャッチャーにボールをトスするが、 三塁ランナーがキャッチャーを回りこむように スライディングしながらホームベースにタッチした 光景は迫力があった。
6回裏にセギノール選手が 2ランホームランを打った時に ファーストベースに着く前に 大きなガッツポーズのようなジェスチャーをして その後、きちんとファーストベースを踏んで ダイヤモンドを1週する。
そして、新庄剛志選手の最後の試合となった。 新庄選手は8回裏の最終打席は涙目になっていたが、 中日のキャッチャーの谷繁選手に 「泣くな、真っすぐしか投げないから」とつぶやいた ようだ。
新庄選手は2回大きく空振りし、三振で最後の打席を終えた。 9回表の守備では涙を流しながら、外野に飛んでくる ラストボールを追いかけた。それをレフトの森本選手が取り 2人は抱き合った。
そして、新庄選手が胴上げされた。
それにしても新庄選手は 「記録はイチローくんにまかせて、記憶はボク(新庄)にまかせて」 と言った通り、記憶に残る選手である。
特に私が驚いたのは、 彼が阪神にいた時の 1999年6月12日の甲子園球場での巨人戦である。 延長戦となり、3塁にランナーがいて 新庄選手の打席となった。 巨人の槙原投手は新庄選手を敬遠しようとボールを外に 投げた。 すると、なんと新庄選手がそれをバットに当てて 打ったのだ!! 平凡なショートゴロのあたりだが 巨人のショート二岡選手が 2塁ベースのカバーについていたため三遊間ががら空きになり なんとサヨナラヒットになったのだ。 それには驚いた!!
新庄選手が、野村監督に 敬遠球を打って良いか聞いたところ、監督は 「勝手にしろ」と言ったそうだが、 実はその敬遠球を打つ練習をその前からしていたようだ。 阪神の打撃コーチであった柏原コーチとその綿密な 打ち合わせをしていたという。 (その柏原コーチは現役の日本ハム時代に敬遠球をホームラン にした)
また、2004年オールスター第2戦の ホームスチールだ。 私はそれをライブ中継ではくVTRでしか見なかったが、 ライブで見たかったなあと思った。 ただ、VTRでしか見ていなくても ホームスチールをした新庄選手には驚いた。
本当に何か意外なことをして 楽しませ、魅せてくれる選手であった。
メジャーリーグ時代に彼のエンターテイナー性から 「SHINJO」と「JOY」をあわせた「SHINJOY」と呼ばれた。
そのエンターテイナー新庄剛志は Studium(野球場)をもうひとつのStudium(劇場)に した男であった。
そして、昨日、 エンターテイナー新庄剛志は 日本一という有終の美を持って、 ラスト公演を終え、新庄劇場は完結した。
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