言霊・楽習社(がくしゅうしゃ) ~心豊かに、言葉を生み、人生を潤す~
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「デートまでの道のり」(瀬尾まいこ 作)を耳で聞く短編小説NHKラジオ文芸館で聴いて・・・早くに母親を亡くした保育園児の男の子とその父親と担任の保母さん先生の3人のデートを成すことはできるのか

今日は、2017年(平成29年) 9月24日 日曜日

昨日の午前8時05分から
NHKラジオで
「耳で聞く短編小説 ラジオ文芸館」を聴いた。

昨日の小説は、ラジオ文芸館のページから引用すると、

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「デートまでの道のり」2017年9月23日
作:瀬尾 まいこ

2015年10月10日放送のアンコール。
保育園で年長組を受け持つ“祥子先生”は、担任する“カンちゃん”の
父親・脩平と交際している。早くに母親を亡くしたカンちゃんは、保育園から逃亡したり、
女の子の鞄にカエルを入れたりするいたずらっ子で、祥子にもなついていない。
祥子は途方に暮れるばかり。脩平から「3人で遊びに行こう」と
提案されても断り続けている。3人でのデートはかなうのか、
それぞれの心模様を温かく描く。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ということで、アンコール放送で、
おそらく、私は一度、聴いたことがあると思ったが、
最後がどうなるかの記憶が薄れているので、内容を思い出す
ことも含めて聴いた。物語の詳細が以下の通りです。
一部記憶が曖昧な部分があり、少し内容が間違っているかもしれまん。
お許し下さい。

@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@


「光の森保育園」で年長組のカンちゃんの担任である祥子先生は、
彼の父親であり妻を亡くした脩平と交際中である。

母を亡くしたカンちゃんを当初、彼の祖母(修平の母)が迎えに着たり
していたが、祖母が腰痛で送り迎えが難しくなり、
父の修平がカンちゃんを迎えることとなった。

カンちゃんを迎えに着たり、また、カンちゃんが
保育園で逃亡やいたずらなどの問題があったときに
保育園に訪れる修平に祥子先生は惹かれていき交際が始まった。


カンちゃんがある日、祥子先生に
「先生、卵焼きを作れるの?」「どんな味の卵焼きが好き?」と
何かを試すかのような質問をしてきたりして、
カンちゃんの気持ちをつかめなくて、
簡単な園児ではない。
カンちゃんが年中の時から関わっている
祥子先生だが、カンちゃんが自分になかなか懐いてくれないでいるのを
感じていて、修平からカンちゃんを交えた3人でのデートを提案されても
カンちゃんとうまくやれているとは思えない状況で、
それに躊躇してしまったいたのだ。

修平と祥子先生はカンちゃんに気づかれないように
毎週日曜日にカンちゃんんが水泳教室に行っている間に
デートをしていた。
祥子先生は修平にカンちゃんに懐いてもらえず、言うことも
聞いてもらえなかったりということを言うと、
修平は、カンちゃんの大好物のナッツのアイスクリームを
食べさせてあげると、3~4日は言うことを聞いてくれるということだが、
保育園ではそのようなことはできない。

ある日、カンちゃんが熱を出して2日連続保育園を休んだ。
いつもやんちゃで元気なカンちゃんがいないことで
祥子先生は淋しさを感じ、同じ年長の女の子も
「カンちゃんがいなくて淋しい」と言う。

2日間連続で休園した場合、その園児の自宅に
家庭訪問することになっていたので、
祥子先生はカンちゃんの自宅に訪問して、
修平が出迎えた。修平は、幼子の発熱への対応に
慣れてなくて戸惑っていたが、自分の至らなさを口にしていたが、
祥子先生はそのような修平に暖かくフォローの言葉をかけていた。
そして、祥子先生はカンちゃんが横になっている寝室に案内された。
いつも、カンちゃんがいないときに修平とカンちゃんの寝室に
いることがあったが、カンちゃんがいるときに
3人でいるのは初めてであった。
祥子先生がカンちゃんに声をかけても、
カンちゃんは祥子先生に目を合わせず、背を向けてしまった。
祥子先生はカンちゃんのお見舞いで、
カンちゃんと仲良くなれるチャンスと感じてしまったことを
カンちゃんに察してしまわれたと思った。

さて、毎月定期的にしている学習発表会のお遊戯の練習を
することとなった。
祥子先生が担任をする年長組みは前回の発表会の歌の発表では、
みんな歌の順番を間違えたりしてグダグダで惨憺たる結果で、
園長先生から「やる気がないなら止めてもいいよ」とも
言われたりした。

今月の学習発表会のお遊戯の内容は
フルーツサンバを踊ることになり、
発表まで1週間
年長組みのあるひとりを除いてはみんな踊りを覚えたが、

カンちゃんは「つまんない」と全然覚えようとしなかった。
祥子先生は遊びの時間も含めてつきっきりで教えようとした。
祥子先生がなんとかなだめたり、同じ年長の女の子ががんばれと
応援したりする。
かんちゃんは「どうして教えようとするの」と祥子先生に言うと
「だって、カンちゃんだけ踊れないのは困るでしょ」と祥子先生が言えば
「別にこまらないじゃん(祥子先生が)園長先生に怒られるから」と
カンちゃんは「どうだそうだろう」と顔をする。
しぶしぶカンちゃんは練習をする感じである。

発表会当日、祥子先生は熱が出て頭はクラクラで体調は最悪、
だからと言って休むわけにもいかなず、だるい身体で保育園に
出勤するがどうしてもダメだった。
そのため祥子先生は投げやりな気持ちになっていて、
自分が元気だろうとそうでなかろうと
カンちゃんは真面目に踊らず発表会はダメだろうと思った。

教室内を整理していると、
「なあ、先生」とカンちゃんが祥子先生の背中を叩いて呼びかける。
祥子先生はカンちゃんが「踊りなんか踊らないと宣言しにきたのだろう」と
思ったら、かんちゃんが
「デートしよう。お父さんと先生と僕とで、かぶとやま公園に行くんだ。
今日のお遊戯がうまくいったら、3人でかぶとやま公園に行こう」と
提案してきたが、どうしてかんちゃんがそのようなことを言い出したのか
わからず
祥子先生が「どうして」と聞くと
「先生、お父さんと僕とでお出かけしたくないの?」
カンちゃんは、やはり、父の修平と祥子先生の関係に気づいていたのだ。
とにかく今日の発表会は投げやりになっていはいけないと祥子先生は
思った。
いざ、発表会が始まると子供たちの踊りはなかなか良かくて
みんなが楽しそうに踊る。カンちゃんも練習の成果もあり
まわりの子の踊りを見ながらそれなりに踊っていた。
ついでに、カンちゃんは退場するときに方向を間違えて
ひとりで右側に歩いていき、みんなの笑いを誘った。

発表会が終わり、カンちゃんが祥子先生に
「やった。うまくいったね」と興奮気味に言う。
「ええ~~。ダメだったじゃん。カンちゃん最後歩いていくところ
違ってたよ」
「なんだよ~。公園行きたくないの?」
「行かない。」
「ほんとに?」とカンちゃんは目を丸くして祥子先生を見る。
祥子先生はカンちゃんに
「まあ、あせらなくてもチャンスは来月にもあるから。
次は、お話し発表会だしね」
「みんなで物語覚えて話すやつ?」
「そう」
「僕、あれ一番嫌い」
「そうだったね。でも、成功したらみんなでかぶとやま公園行こうよ」と
祥子先生が言うと
「ええええ~」とカンちゃんは大げさに頭を抱えてみせた。
「大丈夫だよ。カンちゃん、今日の踊りだってすごっく良かったもん。
次はもっと上手にできるよ。」
「ほんとうかなあ?」
「ほんと。ほんど」
フルーツサンバの次は物語、祥子先生とカンちゃんの間で
乗り越えないといけないことはいっぱいあるが、その先にはデート。
楽しいことが待っている。

@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

というお話でしたが、最後の方の物語の内容は
2年ぶりに聴く事で思い出せた。
幼いカンちゃんは、お父さんと祥子先生の恋仲に気づいていたのですね。
最後は、3人でのデートは成るのかと思わせたが、
まだ、ハードルをあげて、祥子先生はカンちゃんとの仲をもっと深めて、
カンちゃん3人でのデートを成し遂げたいと思ったのかもしれません。

作者の瀬尾まいこさんは昭和49年(1974年)大阪生まれで、
中学校国語講師を9年務めた後、平成17年(2005年)に教員採用試験に合格
されて、平成23年(2011年)退職するまでは中学校で国語教諭として
勤務しつつ作家活動を行なっていた。

今回の「デートまでの道のり」は平成23年に発売された
短編小説集の「おしまいのデート」に収録されている作品である。





ニコニコ動画に40分全編の録音がありましたので
【ラジオ文芸館】瀬尾 まいこ 「デートまでの道のり」を聴くことができます
http://www.nicovideo.jp/watch/sm31976503





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今日は、2017年(平成29年) 2月 5日 日曜日

昨日の朝の午前8時05分からNHKラジオで、
「耳で聞く短編小説ラジオ文芸館」を聴いた。

昨日の小説は、朝井リョウ氏の
「水曜日の南階段はきれい」であった。

そのあらすじをNHKの番組ページから引用する。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「水曜日の南階段はきれい」

2017年2月4日
作:朝井 リョウ

大学受験と卒業を間近に控えた光太郎は、ひょんなことから、英作文が得意なクラスメートの
夕子さんに図書室で添削をしてもらうことになる。
毎週水曜日と金曜日に南階段と窓の掃除を欠かさずに行っていた夕子さん。
(中略)
勉強や掃除をともにしながら、二人は卒業式の後配られる文集の表紙を交換することを約束する。
志望校に合格し、卒業式のあと、夕子さんにお礼を言おうと彼女を探す光太郎。
しかし、彼女の姿は見つからない。二人で掃除をした南階段の踊り場には、
アメリカへ留学する夕子さんの本当の思いが書かれた文集が置かれていた…。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ということだが、この物語の詳細を以下に書いていく。
少々記憶が曖昧な部分があり、間違っている部分があるかも
しれません。

@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

高校3年生の神谷光太郎は、音楽が好きでライブ活動を
それも、学校の中庭で、学校の音楽仲間とともに
ゲリラライブをしていたりしていた。

そんなある日、校内の掲示板に同行から
コロラド大学への留学志望者募集の掲示物があり
光太郎は「この学校からそのようなところの行く生徒がいるのか。
自分とは縁遠いことだな」と思ってそれを読んだ。

光太郎はミヤマ大に入学して、ある音楽サークルに入り、
英語でカッコイイ歌詞を書いて
ライヴ活動をすることを夢見ていた。

さて、
大学受験と卒業を控えた光太郎はセンター試験が終わった後、
学校でゲリラライブをしたのだが、そこでひと騒動あって、
職員室でいろいろお説教されるのだが、
そのとき、英語の先生の机に模範解答の用紙があった。
じつは、それは彼のクラスメートの荻島夕子の書いた解答であった。

先生曰く「荻島さんの英文はとてもいいので使わせてもらっている」
ということだった。

その英語の先生からミヤマ大学に行くには英語をしっかりしないと
とアドバイスを受けたのだが、その荻島夕子の模範解答を見て
彼は思いついた。そう、彼女に英語を教えてもらおう。

それまで、
光太郎は夕子とはそれほど言葉を交わすことはなかったが、
彼女が毎週水曜日学校の南階段を掃除している光景を目にしていた。

そして、学校の図書室に入る夕子に光太郎を声をかけ、
英語の特訓をしてもうらことをお願いした。

夕子はそれを受け入れ、図書室での夕子による
光太郎への英語特訓が始まった。

夕子の早口の説明に光太郎は聞き返したりしながら、
夕子から英作文のいろいろアドバイスを受けたりしていた。
次の日には、彼女は英作文と和訳の問題を用意してくれた。

水曜日の夕子の英語特訓の後、光太郎は夕子の階段掃除に付き合ったりもした。
また、金曜日には南階段の窓拭きの掃除も一緒にしたりした。

光太郎は夕子に階段や窓をなぜ掃除するのか質問したが、
彼女は彼の問いに答えなかった。

また、光太郎は夕子に夕子の夢は何か?卒業後どのような進路に
進むのかを質問したが、即答はされなかった。

ただ、夕子から次のような言葉が返ってきた。
「高校の卒業式の日に、卒業文集の表紙を交換しよう」

卒業生各自に配布される卒業文集の表紙が交換できるように
なっていて、そこにメッセージを書いてメッセージ交換を
したりできるのだ。

光太郎はミヤマ大学に合格できた。

そして、卒業式の日を迎えた。
式が終わった後、担任から
文集、アルバムがクラスの一人ずつ渡された。

その後、ふと光太郎が周りを見渡すと
夕子の姿はなかった。

神谷光太郎は下駄箱に向ったが、夕子の下駄箱には
既に彼女の靴は無かった。

その日は金曜日、南階段に向かった。
夕子の姿は見えなかったが、その階段の窓に
夕子の卒業文集が立てかけられていた。

その表紙には夕子が書いた黒一色の文字が
綴られていた。

そこにはなぜ水曜日に南階段の掃除をしていたのかの
理由が書かれていた。

まず、水曜日に階段を掃除する理由については
あることをごまかすためだという。

主目的は金曜日の南階段の窓拭き掃除にあった。
その主目的をごまかすために水曜日に南階段掃除をしていたのだ。
どうして、金曜日に南階段の窓拭き掃除をしてきたのか?

それは、毎週金曜日に学校の中庭でライブをする神谷君の
姿を見たかったからだという。

特にもっともその様子がより良く見える場所が
南階段の窓であった。

また、その文面には、
夕子の夢と卒業後の進路について綴られていた。

夕子は卒業後、学校の応募で合格した
アメリカのコロラド大学に留学するという。それは翻訳家になりたいとう
夢のためであった。

素敵な文章を外国の人に伝える仕事をするのが夢だという。

そして、会わずに旅立ったのは光太郎に会ってしまうと
留学にためらいが出てしまうかもしれないからと。

そして、光太郎がライブで歌ったいた曲の英訳があり、
それが夕子の翻訳家としての最初の仕事であると。

光太郎がミュージシャンになる夢を守っていたのと同じように
夕子は翻訳家になりたいとう夢を守っていたのであった。

そして、それを読んだ光太郎が南階段の窓を見たとき、
その中庭が見える窓だけが透明に輝いていた。

@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

という感じの物語でしたが、
最後の夕子さんの思いが綴られていたところで
素敵なお話だと感じました。

さて、このストーリーを読んだ
女性の方々は、この夕子さんの振る舞いに
どのような感情・感想を抱くのか
知りたいものです。

さて、これを書いた朝井リョウ氏は
平成元年(1989年)生まれで、
平成25年(2013年)に、
平成生まれの作家としては初の直木賞を受賞した。

その直木賞受賞作品は「何者」という作品であるが、
それは、就職活動を控えた学生達による物語であるが、
その登場人物に出版社就職を希望する
神谷光太郎なる人物が登場する。

「水曜日の南階段はきれい」が収録されている
「最後の恋 MEN'S つまり、自分史上最高の恋」の
神谷光太郎は「何者」で就活をしてる神谷光太郎の
高校時代のできごと、つまり、彼が出版社就職を
希望する背景を描いているのだ。

就職活動をしている光太郎にとって、
もし、出版社に就職すれば、
もう連絡が取れなくなっている荻島夕子と
会えるかもしれない。そう彼女が翻訳家になっていれば。

「水曜日の南階段はきれい」について、
朝井リョウ氏は次のようにコメントしている。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「これは、実は本編(=『何者』)より前に書いたものなんです。
〈最後の恋〉がテーマのアンソロジーだったので、
相手の女の子にとってある意味での〈最後の恋〉を書きました。
その後に光太郎というキャラクターを借りて書き始めたのが『何者』です」

ほんのひきだし 2016年8月31日
朝井リョウ『何様』インタビュー:『何者』よりもっと広く、もっと遠くへ 
『何様』に込められた作家・朝井リョウのいま より

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

別々の作品に、ある人物の過去と現在という時間的連続性を
持たせて書いていたようである。
もし、今回の「水曜日の南階段はきれい」を
「何者」を知ったうえで聴けば違った感想を抱いていたかもしれません。


各々、日々生きていて、何かの動機と目的をもって
行動するとき、その人のそれまでの人生史の積み重ねが
あったりするが、誰かとの思い出というものがその背景に
あったりするのだろうなあと思ったりします。







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今日は、2016年(平成28年)12月04日 日曜日

昨日の朝の午前8時05分から
NHKラジオで、「耳で聞く短編小説ラジオ文芸館」を
聴いた。

昨日の小説は、比嘉淳子氏の
「沖縄戦下の幼女 みえちゃんからの伝言」であった。

そのあらすじをNHK番組のページから引用する。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

本土(関東)で都会生活をしていた「アタシ」は、3歳と1歳の子どもがいる
主婦(夫婦とも沖縄出身)。本土から沖縄本島中部のマンションへと、
家族そろって戻ったが、忙しさを理由に家族を顧みない夫とは喧嘩の毎日。
ついに夫は家に帰らなくなった。「アタシ」は育児ストレスから娘を叱り、
手をあげてしまうようになった。
そんなある日、娘が「毎晩、みえちゃんが、首を絞める。助けて」と訴えてきた。
みえちゃんは、沖縄戦の時、壕の中で母親にあやめられた幼女の幽霊だった。
壕の中で「泣く子は悪い!泣くとアメリカに見つかる」と言われ続けたみえちゃんは、
泣いている子を見つけると「泣くと殺されるぞ!」と訴えていたのだ。
「アタシ」は気づいた。現代に生きる自分の娘と、壕で戦死した子どもの心に
共通する気持ちがあったことに…。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ということだが、この物語の詳細を以下に書いていく。
少々記憶が曖昧な部分があり、間違っている部分があるかも
しれません。

@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

女性である主人公の「アタシ」は沖縄出身であるが、大学進学で
関東に出た。大学卒業後、関東で、同じく沖縄出身の先輩の男性と
結婚して、関東で過ごしていた。

沖縄と違って、本土は交通網が整い好きなときにテーマパークに
行けたりとアタシの好奇心を満たしてくれて、
便利で魅力的な都会生活が続くことに何の疑いを持たず未来永劫
続くものだと思っていた。

しかし、義兄が来て、還暦を迎えた義母があと何年もつかわからないと
伝えてきた。
それを聞いた夫は沖縄に移ることを決意。アタシは二児の子供とともに
家族4人、沖縄本島中部にある高層マンションに転居した。

そこでの生活は快適便利は関東との生活とは一変し、
車がなければトイレットペーパーを変えないようなところで、
猛スピードでトラックが走るような道の端を
下の子供を前に抱いて、上の子をおんぶして
連日往復6キロを歩いて買い物に行くような苦行の日々が
続く。そのようなアタシの状況に夫は思いをはせることもなく、
そのような夫に対するイライラが高まっていた。
さらに仕事が多忙になった夫はあまり家に帰ってくることもなく、
たまの仕事が休みの日もゴルフか二日酔いでつぶれて、
家族から団欒と笑顔が消えてきた。
「離婚」という文字が脳裏に浮かぶようになる。
アタシ達には、関東時代の仲睦まじかった夫婦の面影も
なくなっていた。

このままの生活では行き詰ると思ったアタシは夫に、
休日は買いものに付き合うか、
アタシが車をもつか、
沖縄でももっと便利な那覇に引越しをするかを
迫った。夫はすべて拒否して、大ゲンカとなり、
そのまま出勤をした夫はその日から家に
帰ってこなくなった。

事情を知らない姑から日々電話がかかってきて、
いろいろ干渉をしてくる。それにもアタシは追い詰められた。

そのような中、千葉に住むアタシの祖父が亡くなったという知らせが
入った。父を早くに亡くしたアタシにとっては、父親のような存在であった。

そのような祖父の葬式を行くことを夫と姑は許してくれなかった。
そのような事情をしらない実の母からは責められた。
「女三界に家なし」を実感したアタシは死をあこがれ始める。

ある日、自分の住むマンションの9階のベランダで
洗濯物を取り込んでいる時、
幼子がミニカーで遊んでいた。そのミニカーが隙間から
階下を落下していく。
ベランダから階下を覗きこんだ時、
「落ちれば確実に死ねる」と咄嗟に思い、
自分の子供を抱えて飛び降りおうとしたとき、

ばかもんーーーー!

と怒声がした。なんとそこに、
亡くなったはずの祖父はミニカーをもって立っていたのだ。
祖父は「お前はおじいちゃんの自慢の孫だ。チビたちも
お前の子供だ。さぞかし立派になるだろう」

すると祖父はもういなくなっていて、
記憶を蘇らせると、実際にベランダに出ていなくて、
高層階では、洗濯物を干すことは禁止されている。
自分は子供達と昼寝をしていた。

そして、目が覚める。そう夢を見ていたのだ。
それは死の憧れがそうさせたのか。


ある日娘が通う幼稚園から
呼び出しを受けた。
娘の髪の毛が抜けて薄くなっていることを指摘された。
家庭の状況でそうなっているのを見過ごせないと。

そして、娘が描いた「みんなだいすき」という題の絵を
見せられた。

夫の顔はクレヨンの黒色で塗りつぶされ、
息子を抱いているアタシは赤鬼の顔、
アタシと青いドレスを着た娘の間に
見知らぬ頭に包帯を巻いた女の子が描かれていた。

娘は絵についてこう説明するという。

パパは顔がわからないから黒。
ママはいつも怒ってばかりいるから赤鬼。

そして、その見知らぬ女の子は
「みえちゃん」と娘は説明しているという。

その絵にはアタシは打ちのめされた。
いつも笑顔ではいる娘は
実は心では、
冷え切った家庭の中で、悲鳴を上げていた。

ある日、息子を寝かしつけている時、
娘が「ママに抱っこされてネンネする」と
しつこく言い寄ってきた。
娘の赤ちゃん帰りがひどくなり、日々のいらいらも
重なって、そのような手を煩わせる娘に
ついつい手をあげてしまった。

アタシに叩かれた娘は大声で泣きながら

「だって、だって、みえちゃんがね。
『お前が悪い。お前が悪い』と言って、
アタチの首を絞めるんだ。こわいの。
ママが助けてくれないもん」

と大声で泣き続けた。
娘の言っている意味を理解できなかったが、
娘に手を上げてしまった後悔で、その夜は
アタシも泣いてしまった。

夫との関係が冷却したままで、姑からの
干渉が続くなか。子供二人と母子3人で
沖縄を出ようと思った。

そのようなある日の深夜、
就寝中のアタシは物音で目が覚めた。
すると金縛りで動けなくなった。

体の上に重みを感じる。
そして、誰かがアタシの首を絞めている。
首を絞めているのは頭に包帯をぐるぐるに巻いた
おかっぱ頭の5~6歳ぐらい小さな女の子だった。

その女の子は
「くるしい。苦しい。お前が悪い。お前が悪い」と
アタシの首を絞めてくる。

何とかして、その女の子を押し退けるとすぐさま
その包帯の女の子は娘に襲いかかろうとする。

アタシは、娘を守るため、
その女の子の包帯をつかみ、娘から離した。

するとその女の子は消え去った。

すると、娘はその光景を見ていて、
「あの子がみえちゃんだよ。毎日アタチをいじめにくる。
なのに、ママはアタチを叩いたよう」

娘の恐怖体験を理解できたが、それを今まで理解できなかった。
また、そようような自分に母親としてのふがいなさを感じた。

みえちゃんの服装は、汚れた開襟シャツにもんぺ姿という
第2次世界大戦中の装いを想像させる姿であった。
アタシが住むマンションあたりは、
沖縄戦の激戦地になったと聞き、近くには慰霊塔がある。

その後、アタシは母子3人で新しく住むための引越し先の住まいを
探しあて、引越しの準備をしていた。

引越しのための箱詰め作業をしているとき、
急激な睡魔に襲われ、その場に眠りこむ
アタシの前にみえちゃんが現れた。

アタシはみえちゃんに語りかけた。
5歳だと言う。

アタシ「どうしてここにいるの」

みえちゃん「母ちゃんがここで」

アタシ「お母さんを待っているの?」

みえちゃん「ちがう」

みえちゃんの包帯姿のことについて聞いた。

アタシ「みえちゃんは、そのケガで死んじゃったの?」

みえちゃん「母ちゃんが、首を絞めた」

みえちゃんの説明では、
避難壕の中では静かにしないといけないが、
怖くてみえちゃんは泣いてしまった。
泣いてしまうとアメリカ兵に見つかると言って、
泣く子は憎まれる。

それでもみえちゃんが泣き続けるので、
するとおじさんが、「みんなで死のう」と
手榴弾で自決することを言った。

みえちゃんの母は嫌がったが、
おじさんが
「一人残るとみじめだからみんなでいこう」と。

既に顔を火傷していたみえちゃんは苦しんでいて、
さらにみえちゃんのお母さんが、

「これ以上、みえにつらい思いをさせたくない
みえの体が爆弾でバラバラになるのは嫌だ」と

みえの首を絞めた土に埋めた。

その説明を語るみえちゃんの包帯の隙間から見える目には
涙が溜まっていた。

アタシは、みえちゃんにどうしてアタシの娘の首を絞めたのか
質問した。するとみえちゃんは

「みんながいつも哀しい心だから」

そのみえちゃんの一言にアタシは落雷を受けたような
衝撃を受けた。

アタシだけでなく、娘の哀しい心を抱いていたのを
みえちゃんに見抜かれていた。

言葉で表現できない娘は絵を描くことで
心の穴を訴えていた。

その心の穴は親が作った魂の落とし穴だった。

アタシ達夫婦は、己の我をぶつけ合うだけで、
子供に向きあおうとしなかったことが
娘の哀しみの魂の落とし穴を作ったのだ。

みえちゃんは続けて語る。

「みえはいつも怖かった。
おばあちゃんが火炎放射器で焼かれて、
みえも顔を焼かれて怖かった。だからいつも泣いていた」

さらにみえちゃんは

「ここにいたお兄さん(お兄さんとは幽霊で現れたアタシの祖父)が
ここの子供は怖い思いはしていない。今は戦争はないから。
でも、ここの子供は泣いていた。みえと一緒。
『泣くから殺される。お前が悪い。泣くな』
みえは言ったんだ」

アタシは、泣いている子は悪い子だから殺されるという思考回路が
できあがっているみえちゃんの話を聞きながら、

この平和な時代に生まれた娘が戦死した子供と同じ哀しみの心を
抱いていたことに気づかされた。
アタシが子供たちと向き合って、大事に大事に愛してあげなければ。

この地を離れるアタシであるが、みえちゃんはここに残ったままである。

大好きな母ちゃんに殺されても、子供はお母さんを探して彷徨う。
母親は愛情が故に、戦争で追い込まれた極限状態の中、
わが子を殺めたことで地獄を彷徨う。
戦争は人を悪魔に変えてしまう。

アタシ達は普通に「死の記憶」を持つ土地に住んでいる。
「住める土地」と「住めない土地」という言い方がなされる。
幽霊が出るという噂があったり、不幸があったりした場所を
「住めない土地」と言ったりするが、
「住める土地」と「住めない土地」の違いを決めるのは、
そこに住む人間の心の持ちようである。

「己ばかりを優先してはいないか」
「まわりと調和を持てているか」
「心は満たされているか」

みえちゃんによって、子供の心に穴を開けていけない
夫の真に将来に向けて語りあった。

その後夫婦の縒りはもどり、
関東の時代と同じように明るい家庭に変わっていった。
夫婦でお酒を飲みに行くことも増えた。

みえちゃんとのできごとからかなり年月が過ぎ
年季の入った夫婦となったアタシ達がお気に入りの
ワインバルで出会った男性の祖父が、
話を聞くとあのみえちゃんがいた土地で農地の地主だったという。

壕に隠れたおばあさんと孫娘は火炎放射器で焼かれて、
おばあさんは即死、孫娘はろくな治療を受けずに亡くなったと。

おそらくその男性の話はみえちゃんの話だろうが、
自決した話にはなっていない。自決や母がやむを得ずわが子を
殺めた話は外にだせないのかもしれない。

その男性の話によるとみえちゃんと思われるその子の
遺骨だけが見つからなかった。
それで、代々の土地に慰霊塔を建てた。
土地の後継者は土地を手放して、そこに高層マンションが建てられた。

アタシは、その男性に
「その近くの防空壕の跡地に、お菓子やお水をお供えして、
『安らかになれ、天に届け』と強く念じて」

と伝えた。


@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

というお話であったが、
残念ながら、人類が続く限り、戦争は無くならないだろう。
ただ、その戦争は、そこ国に、その土地に暮らし、住まう人たちの
意識模様の集合が引き起こすのかもしれない。

個々の家庭での満たされぬ思いや
不満集合体が社会全体の大きな不満の集合体となり、
行き着くところが国同士や民族同士の戦争になるのかもしれない。

この短編小説で

::::::::::::::::::::::::

「住める土地」と「住めない土地」の違いを決めるのは、
そこに住む人間の心の持ちようである。

「己ばかりを優先してはいないか」
「まわりと調和を持てているか」
「心は満たされているか」

::::::::::::::::::::::::::

とあったが、それは日々の暮らしで、
よりよく生きていくうえで大切な心の持ちようだと思う。


たとえ、世の中、大不況になって生活が苦しくなっても、
戦争で荒廃しても、家族や友人など身の回りの親しき人たちが
そして、己も含めて、
元気に生きてなんとか過ごしていけているだけでも喜びを
感じていければ、大変な社会状況になっても、
心まで荒んでしまうことは防げるだろう。

今の暮らしで不満に思うことがあったとしても、
70数年前のわが国、日本で、日々、爆弾の雨に
怯えながら暮らしていた人々のことを思うと
大したことはないと思う。
その時代は、飛行機雲をみたら身の危険を感じるような
時代であった。その飛行機から爆弾の雨が降って
くるからだ。
そう思うと、飛行機雲を見て、そんなことを感じる必要のない
現代は恵まれている。

この小説で

アタシ達は普通に「死の記憶」を持つ土地に住んでいる。

とあったが、それを耳にして、
今の私の職場の最寄駅の大阪市の京橋駅を語らえずには
いられない。

京橋駅も第2次世界大戦による死の記憶がある場所である。

その出来事が発生したのは
昭和20年(1945年)8月14日。
そう翌日には、日本政府が降伏して戦争が終わったのである。

戦争が終わる1日前に、米軍の空襲の爆弾がそれて
京橋駅を直撃して、少なくとも210名が亡くなったとされる。

もし、あと1日早く8月14日に戦争が終わっていれば、
亡くならなかった命であった。


そのような戦争による死の記憶の歴史を振り返りつつ、
戦争で怖い思いをしてなくなったみえちゃんのように、
現代の日々の暮らしの中での己の振る舞いや心の持ち方が
身近な人に哀しみという魂の大きな穴を作ることになっていないか。
そのようにふと思いながら、
この耳で聞く短編小説を聴き終えたのであった。





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「曲芸と野球」(小川洋子 作)を耳で聞く短編小説NHKラジオ文芸館で聴いて・・・曲芸師の女性と野球少年という異色の組み合わせの男女の淡くも末永い絆


「はるか」(北村薫 作)を耳で聞く短編小説NHKラジオ文芸館で聴いて・・・天真爛漫の無邪気な女子高生の明るさが潤いと彩りのある豊かな日常にもたらす


「本番、スタート」(ドリアン助川 作)を耳で聞く短編小説NHKラジオ文芸館で聴いて・・・・日の目を見ず、下っ端であろうが、その人の人生の主人公はその人本人なのである


「かがやく」(帚木蓬生 作 )を耳で聞く短編小説NHKラジオ文芸館で聴いて・・・・人間は自分が得意として輝いている時のことに関心を持ってもらえることに喜びを感じるのだ


「超たぬき理論」(東野圭吾 作 )を耳で聞く短編小説NHKラジオ文芸館で聴いて・・・・えっ!UFOの正体はたぬきが化けた文福茶釜だってえええ??・・・こじつけと思い込みの想像力・・ちなみに、宇宙人って誰のこと


「イービーのかなわぬ望み」を耳で聞く短編小説NHKラジオ文芸館で聴いて・・・垂直移動のエレベーターで生きてきたイービーの結末から「空間」についてちょっと思う


耳で聞く短編小説ラジオ文芸館 鈴木光司 作「大山」・・・バブルに翻弄された元夫からの復縁の申し出の旅路にて、元妻からの粋な計らいとは

人生という名の自転車は、自力で漕ぎ続けるのだ・・・「耳で聞く短編小説NHKラジオ文芸館」で「自転車を漕ぐとき」、41歳無職の男の物語を同じく41歳で再び無職に戻る私が聴いて


2か月に1度行く、上新庄のミスタードーナッツで、ラジオ文芸館のアンコール放送「尾瀬に死す」を耳にして、前回も同じ場所でそれを聴いていたので、デジャブさを感じた

透明人間とはそういうことだったのか!・・・耳で聞く短編小説ラジオ文芸館、島田雅彦の作「透明人間の夢」を聞いて、ホームレス寸前の彷徨う若い男女の恋の結末は!

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テーマ:読書メモ - ジャンル:学問・文化・芸術


「あなたに会いたい」(浅田次郎 作)を耳で聞く短編小説NHKラジオ文芸館で聴いて・・・出世のために若かりし時に捨てた恋人の幻影か・・カーナビからの「あなたに会いたい」の声で誘われた場所は・・・

今日は、2016年(平成28年)10月23日 日曜日

昨日の朝の午前8時05分から
NHKラジオで、「耳で聞く短編小説ラジオ文芸館」を
聴いた。

昨日の小説は、浅田次郎氏の「あなたに会いたい」であった。
私は、これを聴くのは2回目で、アンコール放送であった。

そのあらすじをNHK番組のページから引用する。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「あなたに会いたい」2016年10月22日
作:浅田 次郎

2016年7月2日放送のアンコール。
自らの会社を海外展開する企業に成長させた内藤。
東北の地で開催されたシンポジウムでの講演後、
大学進学以来1度も帰らなかった故郷の農村を訪ねる。
レンタカーを運転し、カーナビのおすすめルートに従っていくと、
車は見覚えのある場所へ入っていく…。
内藤には苦い記憶があった。故郷とともに無残に捨て去った女性がいたのだ。
内藤の耳に、長年封印していた女性の声がよみがえる…。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ということだが、この物語の詳細を以下に書いていく。
少々記憶が曖昧な部分があり、間違っている部分があるかも
しれません。

@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

58歳の男である内藤は、ディペロッパー企業を起業し、その後大きく成長させ、
海外展開するほどになっていた。
その内藤は東北地方のある農村出身であるが、一度も、その故郷に帰省はして
いなかったが、成功者としての彼は
東北で講演会をすることとなった。

講演会を終え、新幹線の駅で、部下たちと別れ、
久々の休暇を、故郷でレンタカーを走らせて過ごそうと思った。

借りたレンタカーのカーナビに、
「景色を堪能する」「温泉」など
好みに応じたキーワードがいろいろ表示されていて、
それに応じた目的地にナビをしてくれる機能があった。
それをおもしろがった内藤は、ある表示の言葉に目がとまった。

それは「あなたに会いたい」である。

内藤は、それは何かショッピングモールなどに
誘うとしているのではないかとビジネスライクに考えたが、
おもしろいと思って、「あなたに会いたい」を押した。

女性の声でいろいろ案内がされ、内藤はそれに
口頭で応えてみると、音声認識機能もあるようで、
それなりに会話が成り立つような返事がカーナビから
返ってきたりした。

しばらく、ナビの案内に沿っていくと
ショッピングモールのようなところではなく
人里離れた山の道に入る。

その光景に、内藤は見覚えがあった。
そして、故郷を出ると同時に、
捨ててしまったようになった
当時、交際していた「ゆきえ」という
年上の女性のことを思い出した。

内藤は、大学進学で故郷を離れる前に、故郷で
工務店勤務していた。
その仕事を終えた後、なじみの居酒屋に通っていた。
そこに、ゆきえという女性が働いていた。
ゆきえは、その居酒屋のオーナーの姪であったが
いろいろわけありでそこで働いていたようだった。

内藤は、そのゆきえと関係を深め、
田舎の人目を避けるようにある人里離れた
ラブホテルで過ごしたりしていた。

そう内藤が見覚えのある光景が思ったのは
そのラブホテルに行く途中であったからだ。

若き時の内藤は田舎を出てより大きな社会で活躍したいと
大学進学で東京に、ゆきえを捨てるように、出でいった。


その進学先の下宿屋に、誰から住所を聞きつけたのか
ゆきえからの手紙が届くようになった。

その手紙には、「いつまでも待っている」と書いてあり、
文末は「あなたに会いたい」で締めくくられていた。

それからゆきえから毎日手紙が届くようになったが、
内藤は返事はしなかった。
梨のつぶてに業を煮やしたのか
ある日の手紙には
手紙一面にびっしりと「あなたに会いたい」と
書かれていた。
それ以降、内藤はゆきえから届く手紙の封を開けずに捨てた。
やがて、内藤はその下宿屋から別のところに引っ越した。

なぜ、ゆきえを突き放したのか捨てたのか。
別にゆきえには何の落ち度もなかった。
愛していたわけでもなかったが憎くはなかった。

ようやく拓けた未来に、無口で慎ましく、陰鬱で美しいふるさとの象徴を、
まさか曳きずって行くわけにはいかない。
自分自身の非情な行為をあえて説明するなら、そうとでもいうほかはなかった。

内藤はゆきえとの出来事を回想しながら、
さらに「あなたに会いたい」という声が出る
ナビの女性の指示にそっていくと、
ナビが指示する目的地にたどりついた。


そこには、数多の蔦に縛められた
廃屋のラブホテルがあった。

それは、ゆきえと抱き合ったホテルであった。

すると、「あなたに会いたい」という声が
助手席の方から聞こえてきた。

その声はまさしくゆきえの声であった!
そして、ギアを握る内藤の手を握る手の感触がした。

ゆきえがここまで案内してきたのだろうか?
ゆきえがもし生きていれば、今は62歳くらいである。

内藤は、首を振らずに前を向いたまま
ゆきえの声にこうたずねた。

「生きているのか?死んでいるのか?」

すると、

「あなたに会いたい」

ゆきえの声がする。

しばらく、内藤はいろいろ思い巡らせ
このように返事をした。

「俺も同じだ」

すると、内藤の手を握っていたゆきえらしき
手の感触は消え、声も消えていった。

@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

という感じの物語であったが、
主人公の内藤が、出世して、経営者として成功する人生において
いろいろなものを犠牲にしてきた。

そう若かりし時のゆきえとの関係もそうであった。

その苦い思い出のあるゆきえが
成功者として帰省した故郷でのドライブに
霊なのか幻影なのかわからないが、
現れ「あなたに会いたい」と何度も懇願する。

まあ、現実にはありえないようなストーリーであるが、
理由もわからず突き放されたゆりえ、
そして、己の出世と成功のために
ゆきえを傷つけてしまったという思いを抱く内藤、
この2人が、40年近く経ち、幻影であっても
互いに心の傷を癒すドライブであったように思えた。

浅田次郎 月下の恋人
「あなたに会いたい」収録。




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今日は、2016年(平成28年)6月 6日 月曜日

一昨日、NHKラジオの「耳で聞く短編小説ラジオ文芸館」の放送を聴いた。
その日の作品のあらすじは、NHKのページから引用して以下の通り

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

2016年6月4日 仮面パパ
作:森 浩美

三十代半ばで、働き盛りの主人公・石川。ある日、会社に“宅配便”が届けられた。
荷物を受け取ろうと向かった受付には、なんと三歳のわが娘、美空がいた。
その上、妻の鮎子は、「送り主…ママ」の伝票を残して行方しらずとなってしまったのだ。
その日から、石川の“イクメン”としての日々が始まった。悪戦苦闘する中で、
やがて、子育てについての自分の認識や、
妻が抱えていた苦労の大きさをあらためて考えなおすようになるのだった…。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ということだが、その
内容は次のように展開されている。
(記憶が曖昧なところがあり、間違っている部分もあるかもしれません)


@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

30代半ばの石川は働き盛り。その職場に、大学での先輩でもある
シノダという男がいた。
ある日、シノダが石川に「会社の受付に、お前宛に、ナマモノ、が届いているよ」
という。

石川が会社の受付に行くと、届けられていたのは、モノではなく、
自分の3歳の娘の美空がいて、その送り主は、彼の妻の鮎子であった。

そして、妻からの手紙のメッセージがあり、「もう無理。家出します」
とあった。

石川は突然のことに仰天して、妻に電話をかけるがつながらない。
その日、仕事の打ち合わせなどが残っていたが、会社の同僚の女性が
美空の面倒を見てくれることとなった。

その日、仕事が終わり、先輩のシノダが石川に
「いっぱい飲みにいかないか」と誘う。
石川は娘が一緒にいて無理だというが、シノダはいつものように
強引に誘う。
飲み屋で美空は眠りについていた。その間、石川とシノダは
飲みながら話をする。

石川は、妻が家出をして、美空を会社に置いていったことを
シノダに説明するが、なぜこのような事態になったのかすぐには
わからなかったが、石川の妻の鮎子の機嫌が悪くなりだしたのは
あるできごとからとシノダに説明する。
それは、石川が「育メンパパ」として、雑誌の対談記事に
インタビュー記事が掲載された時からだった。

石川はその雑誌に出るつもりは全くなかったが、
先輩のシノダが勝手に石川を「育メンパパ」として
推薦して応募したのだ。

そして、その記事を見た妻の鮎子は、不満を抱きながら
石川に
「へえ、料理を作ったりね」と皮肉交じりに言い寄る。
雑誌のインタビューで、子供のための料理を作ったり、
子供のために折り紙を折って一緒につくりったりしていると
言っていたが、実際はそんなこと全くしていないのが実情で、
妻の鮎子は、いつも帰りが遅く、娘の子育てを妻に任せきりの
石川に
「あなたは、娘を抱っこしたりするというけど、ただ
子育てのおいしいところだけで、本当に大変なところは
全くしないじゃないの。
また、いつも帰ってくるのが遅くて、ほとんど
娘の世話はしてないでしょ」と
不満を爆発させて言い寄った。

石川は、それに「先輩のシノダさんが誘ってくるので、
断れないのだよ。また、得意先との付き合いも大切で」

と言い訳をするが、シノダさんの誘いがなくても
得意先の人と一緒にキャバクラに通っていたことがあった。

その後、眠気まなこの美空を連れて家に帰った。

明日以降、妻無き家で、娘の美空の面倒をどうみようか
悩み。石川は実家の母に頼もうと電話をする。

事実は伝えるしかないと、石川は母に
「妻の鮎子に家出をされて、明日、美空の面倒を見てくれないか」
と頼み込む。すると、母から意外な言葉が返ってきた。

「鮎子さんならそのようなことすると思った。今まで、口に出さなかったけど、
良く思っていなかったのよ」

と母は言う。石川は、母が鮎子のことをそのように悪い評価をしているとは
思っていなかったので、驚いたが、美空の面倒を明日みれくれないかと頼むが

母は

「明日から、友人と韓国旅行に行くことが前から決まっているのよ。だから
美空ちゃんの面倒は見れない」

と無碍に断られる。

石川は、その夜、眠る前の美空がトイレに行きたいと言い出し、
さらに、「ひとりの行くのが怖いから、パパついてきて」と言うが、
石川はすぐに応じずぐずぐずしていると、なんと美空はおしっこを
漏らしてしまった。
その対応に、石川は悪戦苦闘する。

翌日、石川は有給休暇で仕事を休む。
美空の食事づくりに困り果てる石川である。

そして、その日の夕方は、宅配ピザを頼むことにした。

週末になり、その日の午前、美空は石川に
「パパ、遊ぼう」とおねだりしてくる。

家の中で、体を張って、娘と遊び疲れる石川。
昼になり、昼食をとり、ゆっくりしたい石川であるが、
美空が、石川に
「パパ、また、遊ぼう」とおねだりしてきて、
お馬さんごっことか、もうへとへと。

そんな時、一本の電話が石川宅にかかってきて、
石川が電話に出ると、すこし間をおいてから女性の声で

「美空さんのお父さんですか?」

そう電話の相手は、鮎子のママ友の女性からだった。
一緒に、他のママ友達とファミレスで食事をしようと言ってきた。

石川は、「どうして、ママ友たちと食事をしないとならないのだ。
男たった一人で居場所がないだろう」と思って断ろうと思ったが、

ふと、「もし、いったら、妻の居場所に関する情報を聞きだせるかもしれないし、
他の子供たちと一緒に美空が遊ぶことになれば、少しは助かる」

とそう思って承諾した。

そのママ友達がいるファミレスに、美空を連れて石川が向かう。
ママ友たちの間では、例の雑誌の件で、石川は「育メンパパ」と
思われていて、ママ友たちは、石川を称賛する。
しかし、実際はそうではない石川は苦笑いで応じる。

しばらくして、美空は、他のママ友の子供たちと遊びだし、
ほっとしたののつかの間、
なにやら、石川を電話で誘ったママ友の女性が
携帯電話を石川に向けて、

カシャッと石川を撮影して、

「送信完了」と言う。その突然の振る舞いの石川が戸惑っていると、
石川の携帯電話にメールの着信が届く、差出人は
妻の鮎子であった。そう、そのママ友は鮎子にメールを送ったのだ。

それを合図にして、妻の鮎子は夫の石川に送信してきた。
そして、すぐさま、別のメールが、文章つきでかつ画像が送られきた。

その画像には、妻の鮎子ともう一人の女性が写っていたが、
その女性とはなんと、石川の実の母であった!!!

妻と鮎子と石川の実母が一緒に韓国旅行をしているというではないか!!!!

そして、このような企てをしたのは、
石川の会社の先輩のシノダというのだ。

石川はあわてたようにトイレと言って、その場を離れる。


@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@


という感じのお話で、最後の展開には
笑ってしまいました。

私は独身男子で、子育ての大変さや
子育てに関する夫婦の葛藤を体験したことはないですが、

この石川のような家庭は、けっこうありそうで、
この物語を聞いたリスナー女性で
うなづいたりする方が多いかもしれませんね。


仮面パパ 収録作品


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